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預金者は安心して一定額までの預金を預けることができるため、経営不安に陥った銀行の取り付け騒ぎや他の銀行への波及と、それにともなう信用収縮をある程度阻止することができる。
また、預金者保護に加えて、経営危機に瀕した金融機関の営業を別の金融機関に譲渡するさいに、債務を引き継ぐ制度もある。
破綻した金融機関が他の金融機関に吸収されるのを助け、それまで築き上げてきたノウハウや顧客関係などが消滅してしまうことを防ぐ効果がある。
これの裏返しとして、人の安心感が、銀行の評価をせずに気楽に預金を行う傾向を生み出すということがある。
したがって、効率の悪い危ない銀行にも資金が集まってくるのである。
銀行の効率性を重んじる〈供給側の経済学〉では、このことの弊害を強調し、預金保険制度のもとでは市場における自然な淘汰が起こらずに、非効率な銀行を温存するからよくないという。
またこのときには、銀行の経営が行き詰まる危険も高くなるために、実際に預金保険制度の資金を使う可能性が上昇することになる。
このように、預金保険制度も、公的資金導入の場合と同様に、モラルハザードと流動性の確保という、プラスとマイナスの両面を持っている。
不況期における過度の銀行整理傾向以上に述べてきた、銀行の救済.整理に関する議論をまとめておこう。
まず、この政策の本来の目的は、流動性の確保であることを忘れてはならない。
そのもとで、安易な救済に反対する〈供給側〉の考え方では、救済処置によって短期的に流動性を確保しても、長期的にはモラルハザードが起こって銀行の体質を悪化させ、かえって流動性不安をかき立てるというものである。
モラルハザードはあるにしても、それによる流動性収縮が、救済による流動性確保を相殺して余りあるほど大きいかどうかは、はなはだ疑問である。
さらに、最近の社会情勢では、流動性の確保という本来の目的よりも、銀行の責任追及の方が前面に出てくる傾向がある。
モラルハザードの弊害は、このような責任追及の風潮と相まって、強調され過ぎるきらいがある。
次に、銀行救済の是非について、その銀行の現在の不良債権額と、現在の景気状況を前提とした将来収益見通しを比較し、その大小で判断するという〈供給側〉の考え方では、厳し過ぎるという点がある。
そこでは、不況局面においては将来見通しが過度に悲観的になること、流動性確保による中長期的な景気引き上げ効果を無視すること、という二点が存在するからである。
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